信濃町IoT実装プロジェクト
/ 自動畦畔草刈機 開発

PROJECT OVERVIEW

中山間地の水田畦畔を対象にした自動草刈機の開発に取り組んでいます。

長野県内企業の株式会社 牛越製作所 様と協力し、最大傾斜45°の畦畔への対応と、GPS利用の自動走行化を目指しています。農業事業者のみなさまの安全・効率的な作業に貢献します。

1. クライアントが抱える課題

人口の減少と高齢化

  • 信濃町の人口は 2015(平成27)年まで緩やかに減少しており、総世帯数も 1995(平成 7)年以降、減少傾向ではあるものの、人口よりも減少幅が小さいため、一世帯あたり人口は減少傾向にあります。
  • 年齢3区分別の人口構成をみると、0~14歳人口、15~64歳人口は減少傾向にある一方 で、65歳以上人口は増加しており、長野県毎月人口異動調査によると、平成 30 年4月1 日現在で高齢化率は 41.8%となっています。
人口・世帯・一世帯あたりの人口の推移
年齢3区分別人口及び高齢化率の推移

これにより、地域産業の担い手、労働力不足が深刻な課題となっています。

水田農業の規模拡大を図る上でネックとなる畦畔管理

信濃町の農業施策は、耕作規模を拡大させて機械作業を行うことでの経営安定化を目的に、地域ぐるみで農地の集約化を支援していました。
しかし、中山間地域では小区画かつ不整形な圃場が多く、団地としてのまとまりも小さいことに加えて、集積が進むほどに刈払機等を用いた畦畔管理作業が生じます。
傾斜地水田における畦畔管理作業時間は、平坦地に比べ4.5倍にも上り、10aあたりの管理作業コストも約1万円多くかかると言われています。
生産に直結しない作業に時間と労力が割かれるだけではなく、畦畔や法面の草刈りは危険が伴います。
農業従事者の高齢化、人口減少、若者の農業離れなどの労働力不足により、このような草刈り作業の増加に対応できなくなることで、農地集積の停滞により経営体の強化が進まなくなり、若者にとっても魅力的な産業ではなくなってしまう悪循環に陥りつつあります。
体力的負荷の高い危険な作業を低減し、より多くの人が働きやすい環境を整え、限りある人的資源を野菜の栽培管理等の収益事業に投入できるよう、生産性を高める取組が求められています。

2. 目指す将来像

人口減少から生ずる地域産業の担い手、労働力不足などの課題解決を、重厚長大なシステムではなくスモールスタートで取組み、町内において調査・仮説・実証を短期間で繰り返していくことで地域産業に活力を取り戻します。
これらの取組をIoTやロボティクスの実装により実現するとともに、地域課題解決を事業化することで、中山間地域農業の生産性向上とローカルICT産業の振興による新たな雇用 の創出を図り、「稼げるまちづくり」を実現したい。

3. 事業内容

ドローンや自動走行草刈り機を活用して、水田畦畔の除草作業の効率化の実証実験を行います。
実証実験に用いる自動草刈り機は、国あるいは長野県が開発に取り組む機器の中から、最も信濃町の農地に適した機器を選定し、大学等が研究するドローンとマルチスペクトルカメラによる雑草の発生状況把握技術と併せて活用することで、除草作業の低負担低コスト化に取り組みます。
これにより収益性に寄与しない除草作業にかかる人的・時間的な経営資源を新たな作物の栽培 などの収益的事業に投入し付加価値額の増加を目指します。

4. プロジェクトの進捗状況

ブログにて、プロジェクトの進行状況を随時公開予定です。