信濃町IoT実装プロジェクト
/ 雪下野菜の保冷環境 センシング&分析
PROJECT OVERVIEW
雪下野菜の保冷環境をリアルタイムセンシングするIoTデバイスの製作に取り組んでいます。
汎用部品の活用によりコストを低減し、蓄積したデータを分析することで雪下野菜の高品質化に貢献します。
1. クライアントが抱える課題
人口の減少と高齢化
- 信濃町の人口は 2015(平成27)年まで緩やかに減少しており、総世帯数も 1995(平成 7)年以降、減少傾向ではあるものの、人口よりも減少幅が小さいため、一世帯あたり人口は減少傾向にあります。
- 年齢3区分別の人口構成をみると、0~14歳人口、15~64歳人口は減少傾向にある一方 で、65歳以上人口は増加しており、長野県毎月人口異動調査によると、平成 30 年4月1 日現在で高齢化率は 41.8%となっています。
これにより、地域産業の担い手、労働力不足が深刻な課題となっています。
年間を通じた農業収入の確保
信濃町は、特別豪雪地帯に位置しており、冬期間は降雪により農業ができませんでした。
従来の農業者は現金収入を確保するため、季節雇用者としてスキー場や宿泊施設などの観光サービス業に従事していました。
しかしながら、もう一つの基幹産業としてきた観光も、余暇活動の多様化や旅行者の成熟化(FIT、滞在型、着地型)等の外部要因と、時代のニーズをつかみきれず、従来と変わらない取組を続けてきた内部要因により観光客は減少傾向にあります。
また、観光サービス関連業においても伸び悩む生産性から労働力不足が常態化しています。
一方で、信濃町の豊かな自然環境下での就農を希望する相談があるものの、農業による暮らしを目指すためには、年間を通しての農業所得の確保が課題となっています。
2. 目指す将来像
人口減少から生ずる地域産業の担い手、労働力不足などの課題解決を、重厚長大なシステムではなくスモールスタートで取組み、町内において調査・仮説・実証を短期間で繰り返していくことで地域産業に活力を取り戻します。また、豪雪地帯であることをデメリットではなく、信濃町ならではの農業ができる環境として前向きに捉え、付加価値を高める要素として活用したい。
これらの取組をIoTやロボティクスの実装により実現するとともに、地域課題解決を事業化することで、中山間地域農業の生産性向上とローカルICT産業の振興による新たな雇用 の創出を図り、「稼げるまちづくり」を実現したい。
3. 事業内容
長野県信濃町では、昔から生活の知恵として、冬期間の野菜不足を補うため、秋野菜を雪中で保存し食してきました。
雪の中は、温度0~5度、湿度90%程度の環境が保たれます。これにより、乾燥を防ぎ長期保存が可能になり、野菜の甘みも増します。
まずは試験栽培を実施して食味や耐寒性等の評価を行い、栽培品目及び品種の選定、栽培指針を策定します。
雪下からの野菜の収穫は多くの労力が必要なため、取り組める農業者が限定されてしまう課題がありますが、より多くの農業者が取り組めるよう低コストで省力化が図れる簡易雪室の研究を行います。
次のフェーズでは、新規就農者でも取り組みやすくするため、栽培工程等や保存環境を、IoTデバイスを用いてセンシングし、データの蓄積・分析を行い、早期に高品質な野菜の生産に取り組める仕組みを構築します。
4. プロジェクトの進捗状況
ブログにて、プロジェクトの進行状況を随時公開しています。
こちらからご覧ください。